Scope 2削減の王道:RE100達成に向けた企業の再エネ導入と実践施策

RE100達成には、自社発電、PPA、電力契約の見直し、証書活用など複数の手段を組み合わせた戦略が必要です。本記事では、RE100達成に向けた具体的な再エネ導入方法から実践的なロードマップまで、担当者が押さえるべき重要なポイントを解説します。

RE100とは?Scope 2削減との関係を整理する

RE100は、Renewable Energy 100パーセントの略称であり、企業が自らの事業活動で使用する電力を2050年までに100パーセント再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブです。2014年に気候変動対策を推進する国際NGOであるクライメートグループとCDPによって設立され、世界中の影響力のある企業が参加しています。RE100に加盟するには、事業で使用する電力の100パーセント再エネ化を目標として掲げ、その達成に向けた計画を策定し、毎年の進捗を報告することが求められます。このイニシアティブとScope2排出量削減の関係は極めて直接的です。Scope2は企業が購入する電力の使用に伴う間接排出を指すため、使用電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、マーケット基準によるScope2排出量をゼロにすることができます。つまり、RE100の達成はScope2排出量のゼロ化と同義であり、企業の脱炭素戦略における最も効果的なアプローチの一つとなっています。RE100参加企業は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー由来の電力を調達する必要があり、その調達方法には一定の基準が設けられています。単に再エネ電力を購入するだけでなく、その環境価値が適切に証明され、二重計上が防止されていることが求められます。日本では2025年1月時点で90社以上がRE100に参加しており、製造業、金融業、小売業など幅広い業種にわたっています。

自社発電・PPAなど再エネ導入の選択肢

RE100達成に向けた再エネ導入には、自社発電とコーポレートPPAという2つの主要な選択肢があります。自社発電は、企業が自らの敷地や施設に太陽光パネルや風力発電機などの再エネ設備を設置し、発電した電力を自家消費する方法です。この方法の最大のメリットは、電力の調達価格を長期的に安定させられる点にあり、初期投資は必要ですが、10年から20年という長期的な視点では電力コストの削減につながる可能性があります。また、自社で発電設備を所有することで、RE100の基準において最も質の高い再エネ調達として評価されます。ただし、設置可能な面積や日照条件などの制約があり、全ての電力需要を自社発電で賄うことは現実的でない場合が多いです。そこで、多くの企業が採用しているのがコーポレートPPAです。PPAとはPower Purchase Agreementの略で、企業が再エネ発電事業者と長期的な電力購入契約を締結する仕組みです。PPAには物理的PPAとバーチャルPPAの2種類があり、物理的PPAでは実際に発電された電力が企業に供給され、バーチャルPPAでは電力は系統に流れますが環境価値と価格差決済を企業が受け取ります。PPAのメリットは、初期投資なしで大量の再エネを長期的に安定調達できる点にあり、契約期間は通常10年から20年と長期にわたるため、電力価格の変動リスクをヘッジできます。これらの選択肢を組み合わせることで、企業は段階的にRE100達成に近づくことができます。

電力会社との契約見直しでScope 2を減らす方法

電力会社との契約見直しは、RE100達成に向けて最も導入しやすく即効性の高い手段です。日本の電力小売市場は完全自由化されており、企業は複数の電力小売事業者の中から再エネメニューを提供する事業者を選択できます。契約見直しを進める際のステップとしては、まず現在の電力使用量と契約内容を全拠点について把握し、次に複数の電力小売事業者から再エネメニューの提案を受け、価格や再エネ電源の種類、環境価値の質などを比較検討します。再エネメニューの価格は、一般的な電力メニューよりも高く設定されていることが多いですが、近年は再エネコストの低下により価格差が縮小しています。契約見直しの際に確認すべき重要なポイントとして、再エネ電源の種類とトラッキング方法があります。RE100では、再エネ電力であることを証明する適切なトラッキングシステムが求められるため、非化石証書やグリーン電力証書などが付帯しているかを確認する必要があります。

再エネ証書・トラッキングシステムの活用ポイント

再エネ証書は、再生可能エネルギーの環境価値を電力本体から切り離して取引できる仕組みであり、RE100達成において重要な役割を果たします。日本で主に利用される再エネ証書には、グリーン電力証書、非化石証書、J-クレジットなどがあり、それぞれに特徴と認証基準があります。グリーン電力証書は、民間の第三者認証機関が発行する証書で、再エネ発電設備から発電された電力の環境価値を証明します。非化石証書は、国の制度に基づいて発行される証書で、再エネだけでなく原子力も含む非化石電源の環境価値を対象としていますが、RE100では再エネ由来の非化石証書のみが認められます。これらの証書を活用する際の重要なポイントは、トラッキングの正確性です。トラッキングとは、特定の再エネ発電設備で発電された電力の環境価値が、確実に購入者に帰属することを証明する仕組みです。RE100では、発電所の所在地や電源種別が特定できるトラッキング付き証書が推奨されており、単に再エネ由来というだけでなく、どの発電所のどの電源から発電されたかが明確になっている証書が高く評価されます。証書の購入時期と使用時期の整合性も重要であり、原則として電力を使用した年度と同じ年度に発行された証書を使用する必要があります。

RE100実現に向けたロードマップと成功事例

RE100達成に向けたロードマップ策定には、現状分析、目標設定、施策計画、実行とモニタリングという段階的なアプローチが必要です。まず現状分析では、全社の電力使用量を拠点別、用途別に把握し、どの拠点でどれだけの電力を使用しているかを可視化します。次に、2030年や2040年といった中間目標と、2050年の最終目標を設定します。多くの企業は、2030年までに50パーセントから70パーセント、2040年までに90パーセント以上という段階的な目標を設定しています。施策計画では、自社発電、PPA、電力契約の見直し、証書購入という複数の手段を組み合わせた最適なポートフォリオを設計します。初期段階では導入しやすい電力契約の見直しや証書購入から始め、中長期的には自社発電やPPAといった本質的な再エネ調達に移行していくというアプローチが一般的です。成功事例として、ある製造業では、国内20拠点について5年間のロードマップを策定しました。初年度は本社と主要3工場で再エネメニューに切り替え、RE100達成率を30パーセントに引き上げました。2年目から3年目にかけては、自社の物流センター5拠点に太陽光パネルを設置し、発電した電力を自家消費することで達成率を50パーセントに向上させました。4年目には、主力工場2拠点でコーポレートPPAを締結し、10年間の長期契約により大量の再エネを安定調達することで達成率を80パーセントに引き上げ、最終年度には残りの拠点について証書を購入することで100パーセント達成を実現しました。このようなロードマップに基づく計画的なアプローチにより、コストを平準化しながら着実にRE100を達成することが可能です。

まとめ

RE100はScope2排出量をゼロにする最も効果的な手段であり、自社発電、PPA、電力契約の見直し、証書活用という複数の選択肢を組み合わせることで達成できます。段階的なロードマップを策定し、各拠点の特性に応じた最適な施策を展開することが成功の鍵となります。